こんにちは。今日は、私の投資先についてニュースが入ってきたので皆さんとシェアさせていただきたいと思います。

投資先のグッドケミストリー社が売却されExitしました。

2024年1月9日のニュース

SandboxAQがGood Chemistryを買収し、AIと量子技術を組み合わせて薬物探索を行います。約7500万ドルで成立したこの取引は、新しい薬物のシミュレーションや設計、新しい材料の開発のための新しい方法に対する商業需要の増大を示しています。

SandboxAQとGood Chemistryは、両社とも分子レベルでの材料の振る舞いをシミュレートするために量子コンピューティングの高度な機能を活用するよう設計されたアルゴリズムを使用していると、SandboxAQのCEOであるJack Hidary氏が述べています。

才能を耕すSandboxAQ

人工知能と量子技術の会社であるSandboxAQは、2022年にGoogleの親会社であるアルファベットから分離され、分子シミュレーションを含む商業用の量子技術とAIツールを作成するために設立されました。この取引により、SandboxAQの顧客基盤が拡大し、希少な量子の才能が引き込まれることとなります。

Good Chemistry

バンクーバーに拠点を置くGood Chemistryもまた、2022年に量子コンピューティング企業である1QBitから分離されたスピンオフ企業です。ダウ・ケミカルなどの顧客を持つ同社は、量子テクノロジーと機械学習を使用して化学物性を予測・シミュレートしています。Good ChemistryのCEOであるArman Zaribafiyan氏は、SandboxAQにAIシミュレーションプラットフォームの製品責任者として加わります。また、Good Chemistryの既存のソフトウェアはSandboxのエンタープライズソフトウェアポートフォリオに統合されます。

この取引はSandboxAQの2回目の買収で、2022年にはサイバーセキュリティと暗号化のスタートアップであるCryptosenseを買収しています。Zaribafiyan氏は、通常、新薬や新材料を開発するのは長くて費用がかかる作業であると述べています。化学物質の振る舞いをシミュレートできるようになることは、物理的なテストを行うのではなく、プロセスを大幅に迅速化し、コストを削減できる可能性があると述べています。

グットケミストリーのExitのニュースの感想

ここ2〜3年株式市場もイマイチで、それに伴い、プライベートエクイティーのExitが皆無と言っても良い程、無かったので、上場や会社のM&Aのニュースはそれ程、頻繁にチェックしておらず、共同投資家の1人からニュースと共に問い合わせが入ってきました。結局、 3.5X で、プラス新会社の株の配当もあります。キャッシュで配当金のみだとそれで元会社の投資家たちとの縁は切れてしまうので、新会社の株の配当というのは、元会社の投資家に新会社に対する興味を継続してもらうと言う意味があるのでは無いかと思います。またグットケミストリーを買収した会社サンドボックスAQ社は、未上場会社なので、投資家は引き続き株主となるので、投資家に良いニュースが近い将来飛び込んで来るかも知れないと言う可能性を残す事になります。

SPAC

3〜4年前に急に流行ったSPACは、とても速くExitする事で急激の伸びた時期がありました。私はAST スペースモーバイルに投資をしました。SPACは、Special Purpose Acquisition Company の略で、著名な数人の投資家が、上場させる為の箱となる空の会社を作りそこで投資家を集め、半年以内に自分達以外にも投資家を集め、予定していた事業会社に投資を行い、それから半年でその会社を上場させると言うやり方です。所謂速くするので投資家に良いと言う謳い文句ですが、資金が集まるのは有名な投資家の名前で投資が行われるからであり、Eixt時の株価は高くても、実際に投資家には6ヶ月の期間、株の取引を待たなければいけないと言う規則があるので、それから株価が低迷してしまった。この半年はかなりの確率でExitのIPO時よりも株価が下がるのが今までの経験です。グットケミストリーは、SPACでは無かったので、もう少し掛かるかなと考えていましたが、買収が無事に行われて良かったです。

スピンオフ企業

スピンオフ企業は、親会社から技術や資源を引き継ぎ、独立して新しい事業を展開する企業です。

スピンオフ企業の例には、技術大手企業が新技術を商業化するために設立された会社や、大学の研究者が研究成果を基に起業した企業などがあります。

テクノロジーやヘルスケアの分野においては特に工科大学や医学大学の研究室からスピンオフする例が多くあります。

アメリカやイスラエルなどと一線を画す特徴が有りますが、ドイツやスイス、日本も似ていて顕著なのは、大学にビジネスマインドが不足していて、研究とビジネスの架け橋が中々スムーズに行かない所があります。そこは各国実感していて改善の努力が政府機関、大学側、実業界側で色々と改善がなされています。

3つの出口の配分

グットケミストリーへの投資家には、売却先のサンドボックス社から、出口として3つの分配があります:クロージング検討事項(合計分配の約48%を表す)、1年目の売上配当検討事項(合計分配の約26%を表す)、および2年目の売上配当検討事項(合計分配の約26%を表す)。各分配は2つの要素、現金分配と株式分配から構成されています。現金分配は、クローズ時に分配される価値の約15%と、1年目および2年目に分配される価値の約9%を表します。株式分配は、SandboxAQ GREEN SANDS FUND Y、LLCの価値に基づき、クローズ時に分配される価値の約85%を表します。
サンドボックス社の株式、または株価$ 9.43、および1年目および2年目に分配される価値の約91%。売上配当検討事項は、マイルストーンに基づくものです。クロージング検討事項の一環として、現金のエスクローファンドと現金の株主代表ファンドもあります。これらは、株主代表および請求コストが発生した場合に調整される予定です。補償期間後に資金が配分されます。

PEのセカンダリーディール

スペースXの様に超人気の未上場会社は、未上場株式を買った人が、Exit(会社の売却またはIPO)する前に市場にこの株を買いたい人が売れば、どんどん値段が上がっていきます。Airbnbの時も同じ様にセカンダリーディールがありました。

未上場会社でテクノロジーや薬品の会社は、研究者が集まってスタートします。通常大学のスピンオフで、商品が市場の出る前にどんどん会社の価値が上がって行きます。会社の規模がそれ程でも無くても、大きな会社が常に新しい商品化できるテクノロジーを求めています。実業と会社の価値がこの様にかけ離れる事も起こります。

最後に

投資は、どんなに株価が上がろうと投資した人自身の「Exitが全てでありイコール結果である」と言っても過言ではありません。このグッドケミストリーは、サンドボックスに買収され、先ずは約半分の配当が有りますが、その半分の15%がキャッシュで残りの85%は株です。これだと今のサンドボックス社の株価9ドル幾らで計算すると投資額の1/4が戻り、残りはサンドボックス社に投資したままと言う形になります。つまりExitと言っても部分的(1/4だけ)であり、PEへの投資は引き続き継続すると言う事になります。
Exitには色々な形が有りますが、最近の風潮の様で未上場会社を買収した会社も未上場なので、投資家が我慢する範囲で配当を出して、資金調達を別途しなくて済む様にする工夫なのでしょう。
一方投資家の立場からだと3.5XでExitしたのならそれはキャッシュアウトして、新会社への投資は別途して欲しいものです。上記にPEのセカンダリーディールについて書きましたが、サンドボックスもスペースの様にセカンダリーディールができると有り難いです。(現在可能かどうかそのやり方を打診中です。)